頭の中身をprintf

おっさんITエンジニアの頭の中身を記述するだけのBlog。なお、基本コンセプトは「理系男子」。目標としているのはHellow World!以上の文字列をはてなブログに出力すること。最近、妄想ブログになりつつあるのが悩みといえば悩み。

リケジョ的な戦略

先週、ちょっとした事情がありピンチヒッターで出張に行ってまいりました。ピンチヒッターと言っても内容は勉強会。内容も面白く個人的にはさんざん交通費を出してもらって移動して半ば遊び半分で勉強会に出て帰ってくる、という社会人としてどうなんだろう?というくらいのお仕事。

まあいいか、帰ってきてから勉強会の内容を社内展開すればいいんだろうし。技術的に参考にはなるんだろうし。

でまあ、ピンチヒッターなんで急いで飛行機予約してホテル予約して、なんてやろうとしたら帰りの飛行機が満席。あら困った。キャンセル待ちはすれど思うようにはならず泣く泣くもう一泊。このへんも宿泊費が増えてしまい民間企業の社会人としてどうなんだろう?と思わせる一因。

まあいいか、勉強会のためのPC環境を整えるために前の晩深夜過ぎまでホテルで頑張ったんだし。

ああそうだ、帰りの飛行機を改めて予約しなきゃ、というわけで探したところ時刻的にコードシェアLCC的な便しか選べない。うーん、機内でWiFi使えないんだ?

まあいいか、どうせ機内でWiFi使ったところでメールをチェックするか色々なニュースサイトをフラフラするだけなんだし。
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というわけで帰路につき空港の搭乗ゲートをくぐり目にしたのは黒色に塗装されたなかなか渋い機体。ああそうだ、そういえばこの航空会社って使ったことなかったかも。機内に乗り込むと出迎えてくれたのはキャビンアテンダントの男性。あら最近では珍しくないのかな?なんて思いつつ機内を眺めると並んでいるシートはLCCにありがちなメンテナンスが楽と聞く革張りのシート。

席の頭上に荷物を押し込んで座ってシートベルトしめて正面のシートバックを見てちょっと驚く。国内線なのに各座席にモニターがついているんだ?へー。しかもモニターには映画だけじゃなくてカーナビみたいに現在位置も出るのね。このカーナビみたいに飛行機に現在位置が見れるのはサイバー感があって個人的にはかなり好きだったりする。しかもタッチパネルだし。

USB Type-Aの充電ポートまであるじゃないか(確か1.2Aだったはず)。しまった頭上のバックからUSBケーブル出しておけばよかった。カップホルダーもテーブルとは別にあってテーブルを出さなくてもいいのは邪魔じゃなくて良いかも。普通席なのにフットレストもついている(非常口席だったからかも)。へー。
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間もなく搭乗ご案内のムービーが流れ始め登場したのはガンキャノンのように肩にターボプロップエンジンを搭載したCGのヒューマノイド。さすがに声は音声合成とはいかなかったようだが、男性の声で機内設備を説明し始める。そうか、このシートバックにUSB Type-Aやタッチパネルモニターがあるように、このヒューマノイドの背中にもこんな装備があるに違いない。一昨日乗った某大手航空会社の搭乗ご案内ムービーでは歌舞伎役者の皆様が機内装備を説明していた。2020年を目の前にして日本色を強く出したいのかな?なんて思ったけど、こちらはなんというか吹っ切れている。

やがて離陸し飲み物の機内サービス開始。基本無料なんだ?いつも飛行機に乗るときのようにコーヒーをお願いすると最後に何か小さなカケラを手渡される。ん?何だコレ?あ、チョコレートだ。なーんだよく分かっているじゃないか。コーヒーにはチョコレートが付き物なのだよ。ちなみに大手お菓子メーカーのチョコで少しだけ甘め。

ここまできて分かった。この航空会社はリケジョだ。サイバー感があり媚びていないリケジョなのだ。他は知らないけどウチはコレで行くよ?なんて色が見え隠れする。機内でWiFi?本当に必要なの?機内でYouTube見たければmp4にしてffmpegで容量小さくしてタブレットに入れておけばいじゃない。到着予定時刻?正面のモニターに距離と対地速度が出ているんだからご自身で算出できますよね?なんて真顔で言われそうだ。いやさすがに到着予定時刻は教えてくれるか。

正面のモニターには「顧客満足度No.1」なんて表示されていたりもしたが(2017年度、とか前提条件は不明)なかなかポリシーがありそうで嫌いじゃない。いやむしろ好き。航空会社も安いとか高いだけじゃなくて色を出す時代になったんだと気付かされる。

ぜひこのポリシーは曲げないでいただきたい。むしろサイバー感をより強めていってほしい。ドリンクのサービスもイチイチ客の好みの飲み物を聞いたりするんじゃなくて、AIで予測してレコメンドしちゃえば客室乗務員の負荷軽減につながるかもしれない。せっかく公式スマホアプリでチャットボットを導入しているんだから、機内でヒマつぶしに延々とウィットに富んだチャットができるようにしてしまってもいい。そっちのほうが2020年のアピールになるんじゃないか?

そしたら海外のメディアで話題になりそうじゃないか。こんな感じだ。

「日本人は飛行機に乗ると、何も告げなくとも出てきた好みの飲み物とスマートフォンの両方を手にして笑いをこらえながらチャットをして機内で過ごしている。決して隣席の生身の人間と会話をしようとせず、チャットボットの人工的に作り上げられた会話を楽しむために必死でスマートフォンを親指で操作するのだ。
たとえ窓の外に美しい夕焼けや日本で一番高い山、Fuji Mountainが姿を現してもスマートフォンで撮影はするが、撮影後は再び画面を睨み親指を素早く動かし始める。写真をシェアする相手やはり人工的に作られたチャットボット。写真の撮れ具合を批評してくれるらしいのだが、手厳しく批判されることも少なくないという。
このように決して音をたてずに退屈な機内のひとときを過ごすのが、この国に暮らす人の美徳でありエチケットなのだろう。」

悪くないじゃないか。いやもっと理系色を出してもいいかもしれない。
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「日本人は飛行機に乗ると席に座りシートベルトを装着した後、何故かノートとボールペンを鞄から取り出す。出発前にシートバックのディスプレイに表示されているのは本日の天候、風向き、気温といった各種気象情報、到着地までの距離やいま自分が搭乗している飛行機の予想総重量にエンジンの推力といった様々なデータが表示される。中にはそのデータを必死にノートへ書き写す人までいるほどだ。
この航空会社ではこういったデータを元に、退屈な機内で飽きずに過ごすことができるよう目的地に到着するまでに数問の物理学を用いる必要がある問題が出題される。問題は飛行機が離陸してから水平飛行に移るまでの時間、目的地の空港に着陸する時刻、離陸するまでに必要とする滑走路の距離を予測する、といった物理法則から回答を導き出せる問題だ。その問題を解くために皆ノートに必死に数式を描き、算出された回答は正面のディスプレイのタッチパネルで回答する。回答が近かった人にはマイルが割り増しで与えられるという。
パイロットの腕前や天候の急変により正解は変動するのでは?とキャビンアテンダントに訪ねたところ、その誤差も含め回答を導き出すのが醍醐味だとにこやかに笑った。どうやらこの国の住人はそもそもが勤勉で、誤差を少しでも少なくするといったことに挑戦するストイックな住人が多いようなのだ。」

うーん、飛行機でみんな必死に方程式を解いているのはちょっと気持ち悪いか。センター試験じゃないんだからなあ。

間を取ってこんな感じか。

「日本人は飛行機に乗ると、離陸する前にキャビンアテンダントが子供たちに何故かふたつのペットボトルを配り始める。ひとつは炭酸水入り、そして何故かもうひとつは空っぽのペットボトルだ。子供たちは配られたペットボトルのうち、炭酸水が入ったペットボトルの蓋を開けじっと見つめ始める。中には蓋の空いたペットボトルを熱心にスマートフォンで動画に記録する者もいるほどだ。そしてしばらくすると満足した様子でまた蓋を締めてしまう。
やがて飛行機が離陸し水平飛行に移ると、子供たちはまた炭酸水の蓋を開け熱心に見つめ始める。その表情は随分と楽しそうなのだ。なぜ炭酸水がそれほどまでに魅力的なのか想像がつかず何人かの子供たちに訪ねたところ、どうやらペットボトルの底から上がる小さな気泡の勢いが地上で見たときとは随分と違うというのだ。
また、空っぽのまま地上から大切に持ってきたペットボトルは、離陸前とは違い随分と小さくなり凹んでいる。どうやらこういった現象は、地上と空の上の飛行機の中では気圧の差があるため簡単に物理現象として観察できる、ということらしい。
この航空会社では当初子供たち向けにペットボトルを配るサービスを始めたが、いまでは大人でもペットボトルを欲しがる者も少なくないという。AIの台頭が迫っているという昨今STEM教育の重要性が高まっていると言われているが、この国では航空会社が乗客を楽しませる一環としてサイエンスを教えている。なかなか良い取り組みだ。」

良いおもてなしじゃないか。これこそ2020年に向けて検討してほしい。

ただまあ、リケジョだってきっと楽じゃないだろう。
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コーヒーと共にチョコレートが出てきたのも、論文のアブストラクトは通っちゃったけど手をつけてみたら思ったようなデータが取れなくて、夜中にコーヒーとチョコレートを机に並べて悩んだ経験が何度かあったからかもしれない。カップホルダーがテーブルとは別についているのも、徹夜でレポート書いてたら翌日居眠りして紙コップ倒して、中身のコーヒーでノートが真っ茶色になっちゃった経験が何回もあるからかもしれない。そもそも機体の色が黒いのも、誰とも会話することもなく電波暗室とかに何日も閉じこもる日々が続いた経験があったからかもしれない。それでなくとも男ばっかりの世界で色々と大変だろう。外見や生い立ちでで判断されることも多いだろうから。

ただ個人的には貫いてほしい。華やかなイメージのある航空業界でリケジョとして輝いてほしいのだ。たとえ機体は地味な漆黒色で決して南国のリゾート地まで飛んで連れて行ってはくれないかもしれないけれど、ちょいと窮屈なシートでテーブルの上にモバイルPCを置いてプログラムをコーディングしていたり、プレゼンの資料が表紙しか作ってなかったりしても、ああそうなんだ?じゃあこれをどうぞ、とチョコレートを手渡してくれたりしそうじゃないか。これが栄養ドリンクだったりすると嫌味になるんだけど、きっと自分も同じような経験をしているだろうからそんなことはしないはずだ。

まあいまのところ卒業論文は書いて学士は授与されたくらいか?この先修士、博士と道は長い。出張の機会があればまた論文を拝見させてもらえる、かな?査読するつもりはないけどねー。