頭の中身をprintf

おっさんITエンジニアの頭の中身を記述するだけのBlog。なお、基本コンセプトは「理系男子」。目標としているのはHellow World!以上の文字列をはてなブログに出力すること。最近、妄想ブログになりつつあるのが悩みといえば悩み。

不遇の異口同物

先日就寝前、既に10年を過ぎたの我が家の電子レンジが不調になってきたことが気になりスマホを手にしたのです。情報過多のこの時代、何でもネットで検索すれば欲しい情報が瞬時に手に入るという安易な考え方で、自分が電子レンジに期待していることが何かも整理せずにただGoogle先生に探してもらったのです。

検索キーワードは「電子レンジ おすすめ」。もう何も考えておりませんね。オススメされたらそうなんですかぁ、と載っかる気持ちで結果を期待したのです。

スマホの画面に瞬時に表示されたのは、

「オススメの電子レンジ!22選!」

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あーそうなんだ?22機種も選んじゃったんだ?いやGoogle先生か悪いわけじゃなくて、オススメサイトを作成した側のお話なんだろうけどさすがに5機種とかまでは絞り込めなかったんだー。そうだよねー?多様性を認める時代だもんねー?仕方ないよねー?と検索結果から先に進むことをせず意気消沈。眠かったし。

いや考えてみればムリもない。前述したように自分がどんな電子レンジを欲しいのかすら怪しいまま検索してくる不特定多数を相手にオススメサイトはオススメしなければならないのだ。ここでアナタにオススメの電子レンジはこの3機種!なんて言い切ったら見る方は今日の貴方のラッキーカラーは淡いピンク色!と同じくらいの期待度でオススメサイトのオススメ電子レンジを見るかもしれない。いやラッキーカラーが悪いわけじゃないし、自分もそれくらいの気持ちでGoogle先生にお尋ねしたんだけど。

電子レンジの色はラッキーカラーで決めてもいいかもしれないけど、おそらくこの先数年はその電子レンジとお付き合いするのだろうから、もう少し考えて厳選しなければ後悔する、のかもしれない。

いやこの時代オススメサイトすらも押し寄せる情報を消化しきれず苦渋の選択で22機種を押したのではないか?ひょっとしたら担当者が残業の毎日でもうコレでいいんじゃない?なんてやっつけ仕事にしちゃったのかもしれない。いやポリシーの無い上司に電子レンジのオススメ機種が5機種以下なんてあり得えないだろ!と怒鳴られたのから逆ギレして22機種も選んだのかもしれない。その上司きっと来月は逆に3機種に絞れ!って怒鳴るだろうな。

そういえば月刊の自動車雑誌で年に1度くらい別冊で出版される「国産車オールアルバム」なんてのを読んだのを思い出す。何十車種ものクルマがカラー写真で並んでいる誌面に一台にヒトコトずつ、オススメポイント、ザンネンポイントが記載され国産車がほぼ網羅されている(商用車はほぼ無し)お買い得感の高い別冊。

クルマ好きな方はご存知かと思いますが、クルマ業界にもOEMがある(OEMとは何かはWikipedia先生にお尋ねしてもらえれば…)要はひとつの車種を複数メーカーの店頭で別の名前の同じクルマとして売るわけで、異口同音じゃなくて異口同物。ちょっとクルマに詳しくなれば大人の事情も加味して実態は同じクルマと見分けがつく。

というわけで「国産車オールアルバム」にも別の名前の同じクルマとしてカラー写真が掲載され、オススメもザンネンも同じ結果になるはず…なのだがそうはいかないようなのだ。

実態は同じクルマなのに片方で「シートの座り心地が今ひとつだ」と語り、もう片方でもシートの座り心地が…とはならず「標準装備されている時計が見にくい」なんてことになる。いやいや時計が見にくいのってクルマとしてそんなに問題かあ?とアラ探し感がアリアリなのだが、どうやらそこには大人の事情があるらしい。物理的にまったく同じクルマなのに、同一のオススメ、ザンネンを記載するのは「国産車オールアルバム」ではご法度なのだ。こんなアラ探しをされてしまうあたりにOEMの悲哀が感じ取られる。

そして「OEMされた側」に下されるザンネンポイントは悲しみを助長する。OEMされたクルマはそもそもが不遇なのだ。職場の同僚や知人との会話の中で下手に、クルマは何に乗っているの?なんて問われた瞬間に残酷物語が描かれる。素直にメビ○ス…なんて答えるのが序章。え?なにそれガイシャ?なんて切り替えされるのが本章。いやー国産車なんだけどねぇ…とそれ以上聞いてくれるなと無言の訴えを顕にするのが終章。そして報われないメビ○スは闇に葬られる。大人たちが生み出す残酷で悲哀に満ちたクルマとして後世に語り継がれるのだ、嘘でもプ○ウスって言っておきゃ良かった、と。

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なのにその上に「標準装備の時計が見にくい」なんて言われた日にはもう黙っていられるか!なんて気持ちにはならないのだろうか?もうグレてやる!下り坂でも回生ブレーキなんてしてやるもんか!青信号になったときにモーターアシストなんてやーめた!エコなイメージだけどマフラーから黒煙出してやる!なんて。

いやいやそれは許されないのだ。たとえ名前は違えど姿カタチは「OEMした側」のプ○ウスなのだ。街で人々はメビ○スではなくプ○ウスとして判別するのだ。ここでグレて低燃費ではなく地球に優しくないエコカーなどを演じてしまっては「OEMした側」の威厳に関わる。グッと耐え忍んで何度プ○ウスと間違えて呼ばれようとも、年間生産台数世界第3位のビックメーカーの販売店出身だと思い込まれても、力尽き廃車になるまでメ○ウスの立場でプ○ウスとして立ち振る舞う必要があるのだ。なんと残酷な物語なのだろうか。

メ○ウスは夢見ているのかもしれない。ある日、自動車メディアのレア車特集を担当する編集者が白馬にまたがり「このガラスのホイールナットを落としたのはどの娘なのですか?」と問われる日を。それは私ですとプ○ウスが飛び出し、いえ私ですとプ○ウスαも前に出て、いえいえ私ですともとプ○ウスPHVも声を上げる。いやいや、そこの奥にいるメ○ウスは違うのですか?と編集者が問いただし、恐る恐る前に出てきたメ○ウスのスタッドボルトにガラスのホイールナットを回し込んだところ、何ということでしょう!!ぴったり締まるではではありませんか!!

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…しまった、たぶんどのプ○ウスにもガラスのホイールナットはぴったりだろうな。規格品だろうから。

ならどうだ。

ある日4台のクルマが生まれました。その子達はプ○ウス、プ○ウスα、プ○ウスPHV、と名付けられたのです。そして最後に生まれた末っ子は何故か、メ○ウスと名付けられたのです。

メ○ウスはなぜかいつも兄弟たちからからかわれていました。お前は俺達とは違うんだ、あっちに行け!と。メ○ウスは悲しみに打ちひしがれ、洗車もされることなくいつもひとりぼっちでした。近所のイン○イトはこう言うのです。お前の兄弟たちはみな真面目で優秀なエコカーなのに、どうしてお前はそんなにみすぼらしいのだ。俺は毎日お前の兄弟たちと燃費を競っているのにお前とは争う気にもならない!それを聞いてメ○ウスはますます悲しみに明け暮れるのでした。

ある日あまりのボディの汚れ具合を見るに見かねたのか、メ○ウスはポリマーコーティングをかけることになりました。それまでボディに積もっていた泥やホコリは何度もボディシャンプーで洗車され洗い流され、鉄粉クリーナーと粘土クリーナーで鉄粉は除去され、ポリマーコーティングされ天然カルバナロウワックスを塗られタイヤワックスが施され、ピカピカツルツルになったのです。

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作業が終わったメ○ウスは自分の姿を見て驚いたのです。ぼ、ぼくはメ○ウスだけど仲間はずれじゃなかったんだ!!お兄さんたちと同じプ○ウスの仲間だったんだ!見てこの艶のあるボディと気品のある輝きを!!

その姿を見てそれまでメ○ウスをからかっていたプ○ウス兄弟は心の底から謝りました。俺達が間違っていた、と。ぜひ明日から俺達と燃費を競ってくれないか?お前も俺たちと同じプ○ウス兄弟の一台なんだからな!

それからというもの、メ○ウスはプ○ウス兄弟たちとエコカーとして毎日仲良く幸せに暮らしたのでした。

めでたしめでたし。

えっと、なんだっけ?そうだ、電子レンジだ。まあいっかぁ。まだ使えてるし動いているしー?