頭の中身をprintf

おっさんITエンジニアの頭の中身を記述するだけのBlog。なお、基本コンセプトは「理系男子」。目標としているのはHellow World!以上の文字列をはてなブログに出力すること。最近、妄想ブログになりつつあるのが悩みといえば悩み。

成長の証

成長の証

日直さん

ある日、下の子から学級の日直を努めスピーチをした時の話を聞いた。

どうやらその日はスピーチするネタが皆目検討つかなかったらしく、まあこんな感じの、ある日の我が家での出来事をスピーチにしたらしい。

「ある日、わたしの家ににもつがとどきました。わたしは何かおもしろいものがとどいたのかな?と思いにもつをあけるところを見ていました。でも、いそいでにもつをあけてみたら、中にはいっていたのはおもしろいものではなくパパがかったガラクタのパソコンでした。わたしは、それを見てがっかりしました。これで、スピーチをおわります。」 f:id:macfellow-norland:20210613090616j:plain:w320

うむ。

将来この国を担うであろうピピチピチの若者達に向けて少々恥ずかしいスピーチな気もするが、まあ事実だ。

多分それはネットオークションで4,000円ちょっとで購入したノートパソコンのことだろう。なお、ちゃんとOSを最新化させて普通に動いている。ちなみにそれとは別にキーボードがUS配列のノートパソコンも4,000円程度で購入していて、この妄想ばかりのBlogを執筆するために活躍している。

ちなみに、このスピーチへの質問はこうだったらしい。

「家には何だいパソコンがあるのですか?」

「3だいです。」

いやー違うんだよなー。それとは別に4台目がヘッドレス運用でウォークインクロゼットの片隅で24時間稼働している。まあヘッドレス運用なんてピチピチの君たちにはまだ早いから3台にしておこう。

まあその。

君たちも大人になったらその楽しさが分かる、かもしれない。

呼称「ジャンク品」

ある人はゴミと呼び、ある人はガラクタと呼ぶ。おそらく大多数がゴミとかガラクタという呼称に違和感を覚えることは無い。だがしかし、少なからずそれをゴミともガラクタとも呼ばず目を皿のようにして品定めする人たちがいる。

そう、その人たちはそれをジャンク品と呼ぶ。
f:id:macfellow-norland:20210613094935j:plain:w320

ネットオークションやフリマアプリですっかり市民権を得てしまったジャンクという言葉。いや自分が勝手に市民権を得ていると思っているだけかもしれないけど。

ジャンク品を品定めするのはひとつのトレジャーハンティングなのだ。そこに絶対的な正解は無い。その姿から現状の動作を類推する鑑識力と類推力、ジャンクに向き合い自分の経験と知識に基づき感じられる一種の勘、そして手元のスマートフォンに素早く型番を入力し得られるネット検索結果を基に、そのジャンク品に自分が手を加えることで元の姿に戻る可能性を見極め、希望を込めつつ握りしめレジへと向かう。まあ別にスマホに素早く型番を入力する必要は無くてゆっくりやればいいんだけど。

トレジャーハンティングとは言っても、ジャンク品はそう簡単にトレジャーに姿を変えてはくれない。どれだけ修理して元の姿に戻り満足な動作を取り戻したとしても、結局のところは中古品なのだ。よっぽど世の中を騒がせた名機だとしたら自他共に認めるトレジャーになってくれるかもしれないが、そんな名機はあまりジャンク品にはならない。時たまネットオークションなどで見かける「正常動作美品ジャンク品扱い!」なんていうジャンク品なのかそうでないのかよくわかんない位置づけになる。

いやいやそれってもうジャンク品じゃなくない?て言うかジャンク詐欺?ジャンク品と聞いて心を動かされるワタシみたいな人を狙っている?いや狙ってどうするんだよそもそも正常動作品って時点で興味激減だし。ジャンク品なんてのは動作しなくても何かが足りなくても恨みっこなしじゃないか。だからこそのジャンク品じゃないか。

最初からちゃんと動くのが分かっているなんて、なんか面白く無くなーい??

高揚感とその後

以前、ジャンク品の山の中から、よく名を知られているメーカーのワイヤレスマウスを110円で購入した。使用感も少なく汚れや傷も少ない。電池を入れてやればまず間違いなく使えそう。ジャンクのマウスにはほとんど付属しないレシーバー(パソコンのUSBポートに差し込む受信機)もちゃんと付属している。ただひとつ、内蔵する乾電池を隠す裏蓋が無いだけなのだ。
f:id:macfellow-norland:20210613092742j:plain:w320

なんだ裏蓋が無いだけなら使う分には支障は無いじゃないか。どうせマウスの裏側なんて使っているときに見えないんだし、と軽い気持ちでルンルン気分で購入。ちなみにこの独特のルンルン気分は良質のジャンクを購入したときにしか得られない独特のモノだったりする。

帰宅して電池を入れると赤いLEDの光が灯る。ほーらやっぱり使える。だがしかし、パソコンにレシーバーを接続して5分くらい使ってみて気づく。かなりの頻度で電池が抜け落ちてパソコンのマウスポインタが止まってしまう。
f:id:macfellow-norland:20210613093221j:plain:w320

なるほど。

電池が抜けないようにそ〜っと動かせば使える。いや使えるんだけどなんでこんなに気を使わなきゃならないんだ?ポインティングデバイスなんだから気を使わずともパソコンの画面で狙った場所にビシッとポインタが定まってくれるのがマウスなんじゃないか?

厳しいのはプレゼン資料なんかを作るとき、四角い箱やテキストボックスを動かそうとドラッグしていったら、電池が抜け落ちる可能性を忘れ途中で箱やテキストが立ち止まってしまう。いやいやその箱やテキストはもっと向こう側に持っていきたいのだ。まあこのジャンクマウスでプレゼン資料を作ろうとする方もどうかとは思うが。

うううううむ、これは失敗してしまったか?

いやこれで魔が差してしまうようではジャンク品を購入する資格はない。ジャンク品を購入する上で最も戒めなければならないのは「これはダメだと諦める心」なのだ。諦めてはいけない。自分はルンルン気分でジャンク品を購入したのだ。この程度で諦めてどうする。電池を別な方法で固定するというやり方もあるし、ちょっとしたプラ版があれば裏蓋くらい作れそうじゃないか。100円ショップで工業用ダイヤモンドを散りばめた棒ヤスリや、ぱっと見安っぽいけど材料を切れないことは無い糸ノコギリを100円プラス消費税で購入できる時代じゃないか。裏蓋ぐらい作ってしまえば良いのだ。なお、そのへんの工具を購入するためのコストについては今回作為的に議論の対象外とする。
f:id:macfellow-norland:20210613094201j:plain:w320

きっと多くの人にとってこのジャンクマウスはトレジャーではない。むしろ不良品で、これで110円ならそれこそ100円ショップで300円と消費税で新品マウスを購入するのが当然だろう。だが100円ショップのマウスでは裏蓋を作る体験ができない。新品なんだからそんな裏蓋をつくる体験をする必要性が無い。

マウスの裏蓋を作るとしたら素材は何が良いのか、電池も含めちゃんと固定されるようにするにはどのような形状にすれば良いのか、その思考や裏蓋を作る体験こそがトレジャーじゃないか。ジャンク品をただ額面通り見定めて不良品と一蹴してはいけない。ジャンク品の向こう側には、知識や経験、技術を必要とする様々な問題を乗り越え正常に動作させるという最終目標が見え隠れしているじゃないか。ジャンク品の向こう側の目標を与えてくれることも含め、それはトレジャーと姿を変えるのだ。目の前のジャンク品をそのまま受け止めて既読スルーしそうな勢いで直視することを止めてはいけない。ジャンク品は我々に目標を与えてくれる貴重な存在なのだ。その目標を目指していくからこそ、人は成長していくんじゃないのか??

ん?

ああ。

ワタシのようなごく一部の変わり者だけかー…

ひとりじゃないかもしれない?

またある日、毎週のように足を運んでいるジャンク品が並んでいるお店に足を運ぶ。さて今日は何かご縁のあるジャンク品にお目にかかれるだろうか?ガラガラとコンテナの中に無造作に放り込まれているテレビリモコンの山をひっくり返した後、やっぱりそう簡単にお目当ての品にお目にかかれないよねーなんて思う。なお、このときはネットオークションで落札した地デジを観れる中古パソコンのテレビリモコンを探していた。

んー、やっぱ無いかー。なんて顔をしていたら、

「色々とあって大変だねぇ?たくさんあるからぁ。」 f:id:macfellow-norland:20210613094303j:plain:w320
※写真はイメージです

んん?

店内放送の音楽ばかりが聴こえ、誰も言葉を発していない店内で急に話しかけられた。

「あぁ、そうですねぇ。でも楽しいですよー?」

なんて慌てながら答える。誰の会話も無い店内で相手に聞こえるように声を出すのはちょっと勇気か必要だったけど、いや本当に楽しんでいるのだから素直に答えた。声をかけたのは見たところ初老の男性。そろそろリタイヤされるのかな?なんてお年頃に見えた。

「いや俺も電気屋やっててさぁ、有名なあのメーカーのノートパソコンも100台くらい直したよぉ。電気屋やってるから資格も色々と取ったし。資格は大事だねぇ。」

ちょっと話す勢いに圧倒されながら切り返す。

「えー100台ですか??その数はスゴイですねぇ!」

勢いは止まらず。

「ああ、いくつになっても好きなことは忘れないねぇ。こんなの(ジャンク品)も直して売ればいいじゃねぇか、って店に言ったら直せねぇって言うんだよ。もったいないねぇ。」

確かに直せばいいじゃん、とは思う。でも今の若いバイトのお兄ちゃんとかには難しいんだろうなぁ。

「あー、いまの若い人なんかには難しいかもですねー。」

だってこんな手間がかかること、最近の若い人たちがやるとは思えないもん。ワタシみたいにジャンク品の向こう側に意味を模索する変わり者だけだろうし。

「兄ちゃんいくつ?4x歳?あぁ、一番イイ時だね。いゃあ、会えて良かったよ。じゃあまたな!」

名前もわからない初老の男性は勢いの良い声を残して去っていった。言っていた通り、家電とかをイジったり直したりするのが大好きなんだろう。

ジャンクショップからの帰り道で思った。もしもショップの店頭にオープンテラス席なんかあったら、一緒にジャンク品片手に小一時間語り合うこととかできたかもしれないなんて。

まあ店頭に若者ではなくワタシみたいなおっさんどもが、購入したジャンク品を片手にオープンテラスに集まってきたらお店もいい顔しないだろう。そしてその時反対の手にあるのは緑色した人魚のロゴが入った紙コップに生クリームが浮かぶ、ほにゃららマキアートじゃなくて昼間なのにワンカップみたいなのが似合いそうな勢いだからちょっと見るに耐えないかもしれない。そしてそのうちにハンダゴテで溶けたハンダの匂いや、ミニルーターを回す音とか聞こえてきたら匂いや音を聞きつけてますますおっさん達が集まって来るかもしれない。どうやらジャンクショップの店頭にオープンテラス席を設けるのは得策ではなさそうだ。おっさんホイホイになってしまう。
f:id:macfellow-norland:20210613094536j:plain:w320

でもね、ワタシも会えて良かったです。

だってこんな手間のかかることを愛する人が身近にいるってことを、貴方は教えてくれたのですから。

達成感と成長と

さてマウスの裏蓋はどうしよう?裏蓋がないマウスのことをすっかり忘れていたらカミさんがある日、古新聞をストックしておくためのケースを使わなくなったから切り刻んで燃えないゴミに出したいと言い始める。

ああそういえばこのケースって長いこと使っていないな。じゃあ捨てるか。ということでこれまた100円ショップのノコギリで四隅を難航しながらも切り進めつつフと思いついてしまう。このポリプロピレンのような素材の柔軟性、厚さ、色といいマウスの裏蓋に最適なんじゃないかと。

切断には難航はしたものの、燃えないゴミ袋にその大半を納め依頼元のカミさんに切断の完了を報告。ただし、そのポリプロピレンの一片はコッソリ自分のお宝ボックスに忍ばせる。なおこのお宝ボックスは家庭内では「ガラクタの山」と呼ばれ、家族には軽く白い目で見られている。うん。まあ、確かにガラクタの山ではあるな。否定できない。否定しない。

家族が寝静まった後、ポリプロピレンの一片を切って削ってマウスの裏蓋を作成。さて電池はどうなる。もちろんプレゼンソフトで動作を検証してみる。ポロポロとこぼれ落ちていた箱や見るからに大袈裟な言葉を収めたテキストボックスは軽やかに位置を変え、余計な気遣いをしなくてもマウスの赤いLEDの光が消えることが無くなったことを確認する。
f:id:macfellow-norland:20210613095050j:plain:w320

ああああ、またやり遂げてしまった。

ジャンク品の向こう側に見え隠れしていた目標に、またひとつたどり着いてしまったんじゃないか?誰もめんどくさくてやる気にならない、裏蓋を新たに作るなんてことでまたジャンクマウスは復活してしまったんじゃないか?そのままだと電池が外れてしまいプレゼン資料を完成させることができないマウスを、また現場の第一線に送り込むことができたりするんじゃないだろうか?いや言っておきながらだがマウスの現場の第一線って何処なのかあまり想像がつかないが。

威張るつもりは無いし、目を見張る偉業を成し遂げたワケでもない。ただこう思うのだ。ジャンクを再び元の姿に戻し、再度命を吹き込むことができたのではないかと。だからここはどうかひとつ、法外な値段の治療費を請求はするけれど、どんな難病でもオペで治療してしまう年中黒いロングコートを身に着けているあの無免許ドクターにでもなった気分で、お宝ボックスにマウスを仕舞いながら自分を褒め称えるようにこう言わせてほしいのだ。

「嗚呼またひとつ、ジャンクを救ってしまった…」

ん? 

あれれれー??

マウスを入れたら、ガラクタの山の高さもちょっとだけ成長しちゃったかなあー?
f:id:macfellow-norland:20210613091120j:plain:w320

まずい。

また家族にいい加減に片付けなさいと言われ、泣く泣く少しずつネットオークションに出品することになるんだろうか?いやジャンク品を愛する人に悪い人はいない。人はジャンク品に命を吹き込み、そのたびに成長するのだ。だからそんなちょっと偏った方向に成長思考が高い人のために、成長の度合いを目に見える形で残しておくべきではないか。

そうつまり、このガラクタの山の成長度は、そのまま人間の成長度を表しているのだ。

だからどうかひとつ、ガラクタの山の成長は大目に見てほしいのだ。

ねえ?愛する家族たちよ。